「肩が凝って仕方ない…」
「気づくといつも首や肩が重だるい…」
そんな悩みを抱えて、マッサージやストレッチを繰り返している方は少なくありません。
確かに一時的には楽になりますが、すぐに元通りになってしまう…。
もしかするとその肩こり、「肩」そのものが原因ではないかもしれません。
実は近年、身体の“土台”である骨盤のゆがみが、慢性的な肩こりや頭痛の引き金になっているケースが増えています。
骨盤の傾きやねじれは、姿勢全体のバランスを崩し、背骨や肩甲骨の動きにも影響を与えます。そしてその結果、肩まわりの筋肉に負担がかかり、知らず知らずのうちに「肩こり体質」になってしまうのです。
この記事では、骨盤のゆがみがどのように姿勢や肩こりに影響するのか、また、どのようにして改善を目指せるのかについて、身体の構造や最新の知見に基づいてわかりやすく解説していきます。
肩こりは「肩」だけの問題ではない?

現代人の多くが悩んでいる肩こり。
その多くは、マッサージや湿布など一時的な対処で乗り切られていますが、根本的な改善には至らないケースが少なくありません。
その原因が実は「肩」ではなく、「骨盤のゆがみ」にあることをご存知でしょうか?
骨盤は身体の“土台”ーゆがみが姿勢に連鎖する

私たちの身体は、骨盤を“土台”としてその上に背骨が積み重なって成り立っています。
この土台である骨盤が傾いたりねじれたりすると、背骨の自然なS字カーブが崩れ、姿勢全体に影響が出てきます。
たとえば、骨盤が前傾すれば腰が反り、後傾すれば背中が丸くなる。どちらの場合も、結果的に頭部が前に突き出る姿勢になり、肩や首の筋肉に余分な負担をかけてしまいます。
特に注意したいのは「骨盤後傾タイプ」

肩こりと深く関係するのが、「骨盤後傾タイプ」です。これは骨盤が後ろに傾き、背中が丸くなってしまう状態です。
【骨盤後傾の人に見られる特徴】
- 猫背気味で、背中が丸くなる
- 首が前に出て、あごが突き出る
- 肩が内巻きになり、なで肩になる
- 呼吸が浅くなりがちで、疲れやすい
この姿勢では、常に5〜6kgある頭の重みを肩まわりの筋肉が支えることになり、僧帽筋や肩甲挙筋などが常に緊張した状態になります。
こうした状態が長く続けば、慢性的な肩こりや頭痛につながるのも当然の流れと言えるでしょう。
骨盤と肩甲骨は連動している

骨盤と肩甲骨は、体幹を介して密接に関係しています。
骨盤の可動性が低下すると、体幹全体の動きが悪くなり、肩甲骨の可動域にも影響を及ぼします。
肩甲骨が動かなくなると、肩周囲の筋肉だけで腕を動かそうとするため、筋肉の負担が増大し、肩こりがさらに悪化する…という悪循環に。
さらに、肩甲骨の硬さは呼吸の浅さや自律神経の乱れとも関係しており、「体のゆがみ=全身の不調」へとつながっていくのです。
骨盤のゆがみをチェックしてみよう
自分の骨盤が歪んでいるかどうか、簡単な方法で確認することができます。
✅ 壁立ちチェック
壁に後頭部、肩甲骨、お尻、かかとをつけて立ってみましょう。
腰と壁の隙間に手のひらがスカスカに入る → 骨盤前傾の傾向
手のひらが全く入らない → 骨盤後傾、猫背傾向の可能性
✅ その場足踏みチェック
目を閉じて、その場で50回足踏みをしてみてください。
終了時に大きく場所がズレていたら、重心バランスが崩れているサイン。
これは、骨盤のねじれや左右差がある可能性も示しています。
肩こり改善のためにできる3つのこと

骨盤のゆがみを整えることは、肩こりの根本的な解消に繋がります。日常生活の中で意識したいポイントは以下の3つです。
1. 日常姿勢の見直し
座るときは「坐骨」で座る意識を持ち、スマホを操作するときは目線を下げすぎない工夫を。
足を組む、頬杖をつくといった“無意識のクセ”も少しずつ減らしていきましょう。
2. 体幹(インナーマッスル)を鍛える
腹横筋や骨盤底筋など、身体を内側から支える筋肉を呼吸と連動させて使うトレーニングが効果的です。
軽い動きでも、正しい意識を持つことで、姿勢の安定につながります。
3. 肩甲骨まわりをほぐすストレッチ
「肩甲骨を寄せる」「背中を広げる」といった動きを、ゆったりと深い呼吸と一緒に行うことで、血流が促進され、肩の可動域も広がっていきます。
肩だけにとらわれない、新しい視点を持とう
慢性的な肩こりを本気で改善したいなら、「肩そのもの」だけに注目していては限界があります。
身体全体のバランス、とくに“土台”である骨盤の位置と動きを見直すことは、肩こりだけでなく、姿勢・疲れ・呼吸・内臓の調子にまで良い影響を与える可能性があります。
身体の一部分だけにフォーカスするのではなく、“全体のつながり”という視点を持つこと。
それが、今後の不調予防にもつながる「本質的なケア」への第一歩になるでしょう。