みなさんこんにちは!
ほっと鍼灸接骨院の鈴木です。
多くの方が苦しんでいる腰痛。
性別や年齢ごとに腰痛の原因も変わることをご存じですか?
今回は特に特徴的な原因がある、40代の女性の腰痛に対して解説していきます。
腰痛とは?
腰痛は病名ではなく、腰に感じる痛みや不快感など、症状の総称です。
厚生労働省が行った国民生活基礎調査(平成28年)によると、男性では1番目、女性では肩こりに次ぐ2番目に多く感じる症状が腰痛となります。
腰痛も様々で、ギックリ腰のような急に強い痛みが出るもの、常時鈍痛を感じる慢性腰痛、腰から足まで痛みとしびれ感を感じる神経痛を伴う腰痛など、痛みの症状や部位も人それぞれ様々です。
腰痛の原因がどこにあるかを理解し、症状や原因に合った予防法や対処法を行う事が重要です。
女性に多い腰痛の原因は?
腰痛の原因は、男女間でも原因に違いがあります。
女性特有の生理や妊娠、出産など、体の機能に関わる原因となっています。
ホルモンバランスの変化
女性は年齢により女性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスに変化が起こります。
特にエストロゲンの減少は自律神経の乱れを引き起こします。
自律神経が乱れると、血流の低下や痛みの悪化などにも影響が出るため、腰痛が現れやすくなります。
婦人科系疾患
子宮や卵巣の疾患からも女性特有の腰痛が引き起こされます。
腰痛を伴う婦人科系疾患は下記の通りです。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮がん
- 子宮脱
- 子宮外妊娠
- 卵巣捻転
- 卵巣がん
- 骨盤内感染症
この中でも特に多い疾患は子宮筋腫と子宮内膜症です。
安静時の腰痛や下腹部痛なども出ている場合は婦人科を受診しましょう。
生理痛
生理の前後はホルモンバランスが変化し様々な不調が現れます。
特にプロスタグランジンと呼ばれる子宮の収縮を促すホルモンが多く分泌される方は腰痛が出やすい傾向にあります。
妊娠、出産により骨盤が変化
妊娠をすると、リラキシンというホルモンの分泌が増えます。
このホルモンは骨盤の関節をつなぐ靭帯を緩める作用があります。
靭帯が緩むと骨盤の関節も広がり、ぐらぐらと不安定になってしまいます。
不安定になると、腰や背中の筋肉で腰を支えようとするため、負担がかかり腰痛が現れやすくなります。
40代女性に多い腰痛の原因
腰痛の原因は多岐に渡り、年齢によっても主な原因が変わります。
40代の女性に多い腰痛の原因をご紹介します。
ホルモンバランスの変化による更年期障害
女性の体は50歳前後で閉経する場合が多く、45歳~55歳を更年期とされています。
更年期に入ると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減少します。
女性ホルモンが減少すると体の機能に様々な異常が起こり、このことを更年期障害と呼びます。
更年期障害で起こる体の変化は、腰痛を悪化させる原因にもなります。
自律神経失調症
エストロゲンが減少すると体だけではなく、精神状態も不安定になりやすくなります。
過度なストレスは自律神経に負担がかかり、全身の機能調節もうまくできなくなります。
自律神経が乱れると様々な症状が現れ、放置していると徐々に悪化していきます。
このような状態を自律神経失調症と呼びます。
自律神経失調症には、動悸や偏頭痛、めまいや倦怠感など多くの症状があります。
さらに、全身の血液循環も悪くなるため、筋肉が緊張し硬くなることで腰痛が現れやすくなります。
骨粗鬆症
エストロゲンの低下は自律神経だけではなく、骨にも影響が出ます。
エストロゲンにはカルシウムが骨に吸収されやすくする働きがあります。
そのため、カルシウム吸収が低下し、骨の再生力が低下してしまうと骨粗鬆症へとつながってしまいます。
骨粗鬆症は、腰椎圧迫骨折や腰椎の変形が起こりやすくなるため、腰痛が現れやすくなります。
筋力低下
腰痛は腰まわりの筋肉が弱くなることも原因のひとつです。
女性は男性に比べ筋肉量が少ない体質なうえ、40代になると年齢的にも筋肉量が低下しやすくなります。
特に腰周りには大小様々な筋肉があり、姿勢や体の動きに関係しています。
表は筋力が低下すると腰痛の原因となる主な筋肉です。
筋肉名 | 衰えると起こる現象 |
腸腰筋 | 良い姿勢が取りづらくなる、歩行中につまずきやすくなる |
多裂筋 | 猫背や反り腰になりやすい |
腸肋筋 | 腰が捻りにくい、背筋が伸びにくい、横に体を倒しにくい |
腰方形筋 | 良い姿勢が取りづらくなる、骨盤のゆがみが出る |
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは幅広い年代で起こる可能性はありますが、軟骨の減少、筋力低下などが強く出始める40代以上で特に発症しやすくなります。
腰の痛み、足の痺れや痛みが主な症状として現れ、前かがみをすると症状が酷くなりやすいのが特徴です。
ホルモンバランスが原因で起こる腰痛の治し方
女性ホルモンの分泌が年齢を重ねるにつれて減少してしまうのを止めることはできません。
しかし、適切な治療をすることでホルモンバランスが原因で起こる更年期障害や腰痛を緩和させることは可能です。
主な治療法をご紹介します。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、減ってしまったエストロゲンを補うことで、更年期による症状を緩和する治療法です。
ホルモン補充療法で使用される薬には内服薬と経皮薬(貼り薬、塗り薬)があります。
最近ではエストロゲンと黄体ホルモンの2つを補うタイプの貼り薬も登場しました。
HRTに使える薬剤も幅広くなっています。
漢方療法
みなさんは「不定愁訴」という言葉を知っていますか?
検査をしても異常がない、だけど体は辛い…
という症状のことを不定愁訴といいます。
漢方による治療は不定愁訴に対して多く用いられていました。
そのため、更年期障害に対しても漢方は多く処方されています。
漢方の考え方は一般的な西洋医学とは異なり、「気・血・水(き・けつ・すい)」それぞれの乱れから不調が現れるとされています。
更年期による不定愁訴は気・血・水のうちの、気や血の乱れから来ていると考えられています。
主な症状で説明すると、頭痛や肩こり、腰痛は血の流れが滞ることで起こるため「お血」と呼ばれています。
めまいや集中力の低下、睡眠障害、耳鳴りなどは血が不足していることで起こるとされ、「血虚」と呼ばれています。
火照りやのぼせ、動悸などは気の流れに異常が生じることで起こります。
気の乱れ、「気逆」と呼ばれています。
様々な症状を考慮し、体の状態に合わせた漢方薬が処方されるのです。
鍼灸治療
鍼灸治療の東洋医学でも、一般的な西洋医学とは考え方が異なります。
東洋医学でも五臓(肝・心・脾・肺・腎)によって全身の機能を司るという考え方ですが、これは内臓の臓とはまた違う意味なので、ちょっと難しいですね…
五臓の中でも「腎」の部分が自律神経などに影響しており、歳を重ねると「腎」が衰えてしまうので、更年期障害を悪化させるとされています。
鍼灸治療ではツボや経絡(気が流れる道)を刺激し、気の流れを整えることで自律神経を正常な働きへ導きます。
40代女性におすすめの腰痛対策
みなさんは腰痛になったとき、どんな風に対処していますか?
ちなみに、ギックリ腰などの急に痛みが出たものは安静もしくは放置していても自然と痛みが引く可能性があります。
しかし、それ以外の腰痛に関してはあまり自然に治ることはありません。
特に40代女性に起こる腰痛は、筋力、自律神経、ホルモンバランスなど自然回復が期待できない原因となることが多いので、これらの原因に対してしっかり対策をしてあげることが大事です。
運動
筋力低下には運動です!
筋力低下といっても筋肉自体がなくなっているわけではありません。
高齢の筋力低下や入院などで寝たきり生活などの場合は、筋肉量の減少が強く起こることもあります。
それ以外の筋力低下は、筋肉が固まって動かしにくい状態になっていることがほとんどです。
生活を送るだけの筋力はありますが、筋肉が固まってしまい、力が十分に発揮できていないだけです。
運動というとジムに行ったり、スポーツをしたりとハードルが高く感じます。
しかし、自宅で体操をしたり、ストレッチや軽い筋力トレーニングをする程度で問題ありません!
まずは体を動かして、筋肉や関節が動かしていきましょう。
おすすめはの運動はヨガです!
ヨガは体の深い部分にあるインナーマッスルに多く刺激が入る運動です。
腰痛に関係する筋肉をしっかり動かしてくれます♪
さらに、ヨガは呼吸を意識する運動です。
呼吸が整うと、自律神経の調整効果も期待できます。
運動負荷もそこまで強くないので、女性にも特におすすめの運動です。
気分転換
更年期の症状を悪化させてしまう原因がストレスです。
日々のストレスや体調不良のストレスなど、多くのストレスが自律神経の乱れを悪化させます…
1日のどこかで気持ちをリセットする時間を作ってあげることが重要です!
方法はご自身の好きな方法で問題なし。
要は何でもいいのです!
好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いて入浴したり、ゆっくり散歩をするなど、ストレスを一度忘れるよう努めてみて下さい。
激しい運動や暴飲暴食でストレスを発散することもあるかと思いますが、これは一旦避けて下さい。
体をリラックスさせることが1番重要なので、激しい運動などは体を興奮状態にしてしまい、逆に負担が増えてしまいます。
基本的に体を休める方法を選択して下さいね!
食事改善
ホルモンバランスの乱れは食事を見直すことである程度整えることもできます!
食事で大事なことは、みなさんご存じ、栄養バランスです。
栄養はバランスよく取らないと体の機能は正しく働きません。
女性ホルモンが減少して起こる更年期の症状には、大豆食品が特におすすめです。
大豆のイソフラボンが女性ホルモンに似た働きをしてくれます。
まずは食事を見直してみて、難しい場合はサプリメントに頼るのもありです!
まとめ
40代の女性に多い腰痛は日々の疲労だけが原因ではなく、更年期に起こるホルモンなどの変化も原因となります。
エストロゲンが減少すると、筋肉の問題や自律神経の乱れが起こり、腰痛の悪化を引き起こしてしまうのです。
更年期障害で起こる腰痛は、マッサージではあまり改善されないことが多いです。
漢方や鍼灸などをおすすめします。
運動や気分転換でストレス発散、食事の見直しなど、日常的なケアを意識することで症状の悪化をさせないようにしましょう。
更年期障害が特に酷い場合は、ホルモン補充療法という治療法も検討しましょう。
医師に相談の上、ご自身の状態に合わせた治療法を選択することが、症状改善の近道です。